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5日目午後・ウンターリンデン美術館(イーゼンハイムの祭壇画) 

旧市街の建物など写真におさめた後、旧市街地の北端にあるウンターリンデン美術館(Musée d'Unterlinden)を訪れました。

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ドミニコ会派修道院を改造して作られた美術館です。

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中世13世紀頃の修道院の面影を残す中庭があります。
この美術館は、15世紀から18世紀の宗教絵画が多く展示されていますが、お目当てはこちら。

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ドイツ絵画史上で重要な作品と言われている、「イーゼンハイムの祭壇画」がここウンターリンデン美術館に展示されています。
16世紀、ドイツの画家マティアス・グリューネヴァルトが描いた祭壇画は、もともとはコルマールの南方20kmにあるイーゼンハイムという場所の聖アントニウス会修道院付属の施療院の礼拝堂(長い・・・)に置かれていたそうです。

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祭壇画は解体された状態で美術品として展示されていますが、もともとは聖アントニウスの木像を安置する祭壇の扉絵です。

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第一面。中央の磔になったイエスと、左側は聖セバスティアヌス(ペストから人々を守る成人)、右側は聖アントニウス(修道院の守護聖人)。下の部分はイエスの埋葬シーン。

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やせ衰え、苦痛にぐったりとしたイエスは全身傷だらけで痛々しい姿で描かれています。

ウンターリンデンでは、祭壇画は解体されていますが、もともとの状態が展示されていました。

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第一面十字架あたりの扉を開けた時に見える第二面。当時は、日曜日と祭日の時に開かれていたそうです。
左から「受胎告知」、「奏楽の天使」、「聖母子像」、「復活」。

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美術品として展示されていると、元々の祭壇画の時とはだいぶ雰囲気が異なりますが、それでも第一面の陰惨な扉絵から一転して救済のイメージが強くなっているのがわかります。生気なかったイエスが、力強く復活して光に包まれているところなど、第一面からがらっと変わっています。

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第二面の扉を開けると、第三面の絵と中央は木像です。左の扉絵は「聖アントニウスの聖パウロ訪問」、右は「聖アントニウスの誘惑」です。

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ウンターリンデンでは、扉絵は左と右が反対になって展示されています。

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祭壇は、一番奥の場所に展示されていました。観光客の大半は祭壇画に熱心に見入っていましたが、本来の主役であるこの祭壇の木像はほとんど素通り状態でした。

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第三面の「聖アントニウスの誘惑」では、ヒエロニムス・ボスを連想するような不気味な化け物が数多く描かれていますが、左手下に描かれている怪物は、当時流行していた「聖アントニウス病」を象徴するものとされているそうです。

聖アントニウス病は細菌感染したライ麦で作ったパンを食べると感染する病だったようです。中世のヨーロッパではペスト・ハンセン病と並ぶ三大疾病で、この病気にかかった患者は聖アントニウスを祀った教会に巡礼し、祈りを捧げるしか手段がなかったということ。イーゼンハイムの聖アントニウス修道会には、数多くの病人が救いを求めて訪れ、この祭壇画は聖アントニウス病の人たちのために描かれたものということでした。

明るい美術館の中では想像できませんが、生と死のはざま苦しむ重病人の救いのため描かれたという、この祭壇画がどれだけ人の心を癒したのか・・・と思うと今でも写真を見ながら胸にくるものがあります。

今回、ウンターリンデン美術館でこの祭壇画を見るために予習として中野京子さんの本を購入しました。本の中で、「もし自分が(り患して苦しむ)中世の巡礼者だったら」という一節があり、中世の巡礼者の視点で描かれた祭壇画の記述があります。事前にこの本を読み、実際に自分の目でその絵を見て、絵のもつ癒しの力を少しでも感じることが出来て良かったと思います。

”長い辛い旅路の果てに、あなたは今この絵を前にしている。
 十字架上のイエスのねじれ、よじれ、伸びきった身体、肉体と精神の苦痛に激しく歪む顔 ・・・(略)・・・
 何と怖ろしい! 何と凄惨な! 何と痛い! 痛すぎる!
 これでは仲間の死に際と同じではないか。いや、自分の今の姿そのものではないか!イエス様は自分と同じように、苦しんで苦しんで、みんなのために死んでくださったのだ。
 あなたは衝撃に震え、やがて声をあげて泣くだろう・・・”
(中野京子著 「怖い絵」で人間を読む )

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